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プロ野球の選手が
「ニンニク注射」をしたということで
アンチ・ドーピング規定違反の
疑いがあるため球団から
日本プロ野球組織の医事委員会に
「カルテ」の写しが提出されたそうです。
いや、隠すまでもありません。
今年のセ・リーグの
最多勝投手、中日ドラゴンズの
吉見一起投手です。
日本プロ野球組織が
順守する世界反ドーピング機関の規定では、
静脈内注入は緊急の医療状況などを
除いて禁止されているそうです。
「ニンニク注射」ですから
吉見投手が点滴したのは
ビタミンB1誘導体製剤でしょう。
違反か否か、判断基準として、
点滴が「正当な医療行為」であるか
どうかが問題で医事委員会が
カルテを精査して判断を下すそうですが、
ふつう、「緊急」というのは
生命に関わる事態のことです。
「正当な医療行為」の基準が
「緊急」の状況でなければ
ならないとするならば、
やはり、規定には
抵触するかも知れません。
ビタミンB1誘導体製剤の
添付文書の中には
「ビタミンB1の需要が増大し、
食事からの摂取が不十分の際の
補給」と書かれており、
「激しい肉体労働時など」と
注釈も付いています。
最多勝を獲る投手ですから
登板前後は
「激しい肉体労働時など」に
該当するでしょう。
しかし、
「食事からの摂取が不十分」か
どうかは「微妙」です。
ドクターフリッカーの
診療所でも、高熱の患者さんや
激しい肉体労働を行った方が、
いわゆる「ニンニク注射」を
ご希望されることもあります。
ビタミンB1で風邪が良くなったり、
疲労がすぐなくなる訳ではないので、
「いや、食事をしっかり摂って
お薬をのんで、今日は早めに
おやすみ下さい」と申し上げても、
「いや、もう、疲れちゃって
メシもノドに通らないのです」と
患者さんがおっしゃる場合は
ビタミンB1誘導体製剤の
注射も行うこともあります。
吉見投手も
あるいは、別の消化器疾患で
胃腸の調子が悪く、
食事も摂れないうえに、
肉体労働によるビタミンB1の
需要が増大している状態だった
ということならば、
医事委員会も
「正当な医療行為」と
判断するでしょう。
一般のかたがたは
受けられる医療行為でも
プロ野球選手では
大きな問題になってしまいます。
そんな中、よもやと思いましたが、
昨日のクライマックスシリーズ
第3戦、なんと渦中の
吉見投手が先発しました。
ホームランも打たれましたが、
6回、2失点とまずまずの
好投をしました。
やましいことは
何もないということなのでしょう。
ま、たしかに「ニンニク注射」で
最多勝が獲れれば、世の中、
苦労はないのですが。
と言うより、
前述した規定があるにも
かかわらず、安易に「点滴」を
容認していた中日球団は、もう少し
「李下に冠を正さず」と言うことを
肝に銘じるべきです。