
ポリオとは急性灰白髄炎。
すなわち、ポリオミエリィティスを
略してポリオと言うわけです。
5歳未満では脊髄性小児麻痺の発症が多く、
ポリオと言えば小児麻痺の印象が強いですが、
成人でも抗体がなければ感染します。
神奈川県ではニュースキャスターから
華麗に転身した新知事の「鶴の一声」で
ポリオの不活化ワクチンを
医療機関で個人輸入し保健福祉事務所で
接種する方針を打ち出しました。
あきれたことに確保できる分量や
開始時期などは未定です。
政令指定都市ばかりか、医師会、医療機関への
なんの意見交換もありません。
その証拠に現在でも、横浜市では
福祉保健センターで医師会所属の医者が
診療時間を削って出動して
ポリオの生ワクチンの接種が行われています。
不活化ワクチンは
ウイルスとしての活性をなくして注射するので、
予防接種でポリオになる心配はありません。
対して、ポリオ生ワクチンは
弱毒化した生きているウイルスを口から入れるので、
昨年までの10年間で全国で15人の方に
接種後の麻痺が生じたと厚生労働省は認定しています。
これでは誰しも、自分の子には
「不活化ワクチン」の輸入を待って接種しようと思うのが、
当たり前ですし、親心というものです。
おかげでポリオ集団接種の接種率は20%も激減です。
「不活化待ち」で免疫を持たない
赤ちゃんが増えているのが心配です。
もし、この間に神奈川県でポリオが大流行でもしたら
県知事はどうするおつもりでしょう。
もともと、日本では1960年にポリオが流行して
5600人以上の感染者が発生したため、
1961年に生ワクチンをソ連とカナダから緊急輸入して
ポリオの発生は急速に低下したのです。
今でも、インド、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアでは
野生株のポリオが伝播しています。
最近、中国でも野生株のポリオの集団発生がニュースになりました。
もう一度、書きますが、神奈川県で不活化ワクチンの
確保できる分量や開始時期などはまったく未定です。
生ワクチンにせよ、不活化ワクチンにせよ
接種しないでいるのは良くありません。
生ワクチンは2回接種ですが、不活化ワクチンは
4回接種しなければなりませんし、
不活化ワクチンでは時間とともに抗体価は下ります。
生ワクチンの前に不活化ワクチンを
注射しておく方法もありますが、
これも免疫獲得については
まだ不確定な部分も残っています。
乳児期に行うBCG、三種混合、ヒブ、肺炎球菌と
目白押しの予防注射の中でポリオの接種をどう組み込むか。
欧米のように混合ワクチンではダメなのか。
全ての議論を棚上げして、
県民、市民への広報より、マスメディアへの
露出が目立つのでは困ります。
接種するスケジュールもアナウンスできない状況で
仮にも県知事たる方が軽はずみはパフォーマンスは
慎むべきだったのではないでしょうか。
生ワクチンで良いと言っているのではありません。
ポリオの非流行地では不活化ワクチンを接種することが
ベターであるのは百も承知です。
国がもっと迅速に不活化ワクチンの緊急輸入なり、
製造、承認を急いで供給体制を整えるべきなのは
言うまでもありません。


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