
いよいよ、冬本番。師走です。
今日、12月1日は
世界エイズデーだそうです。
エイズが発見され話題になった頃、
ちょうど大学に入学したばかりでした。
原因不明の不治の病として
世界中が恐怖におののいたものですが、
1983年にはフランスのパスツール研究所で
モンタニエ博士とバレシヌシ博士が
ウイルスの分離に成功して
後の2008年にノーベル賞を受賞しました。
エイズの原因はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)。
RNAウイルスです。
当時はHIVに感染することは
何かいかがわしいことをするからだと
偏見を持っていたことも確かです。
しかし、現在では
異性間での性交渉はもちろん
血液感染、母子感染の可能性も指摘され
HIVは立ち向かわなければならない
人類共通の敵の一つです。
HIVは細胞に入り込んで
逆転写酵素でウイルスの複製を作る
レトロウイルスです。
この逆転写酵素を阻害すると
ウイルスの増殖を抑制することが出来ます。
HIVに感染しても逆転写酵素阻害薬のおかげで
エイズの発症は防げるようになりました。
エイズがこの世に知られるようになって
たった30年で発症の制御が可能になったのです。
医学の進歩の何と素晴らしいことでしょう。
因みにB型肝炎ウイルスは
DNAウイルスですが、
やはり逆転写酵素を持っています。
ですから、B型肝炎ウイルスもHIV同様に
逆転写酵素阻害薬が有効です。
エイズに限らず、
すべての病気や感染症には
無知からくる差別や偏見を解消して
しっかり科学的に向き合うことが大切です。
世界エイズデー。
いま一度、感染症を正面から見つめなおして
日々の診療に向いたいと思います。


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