
近づきつつある台風の影響でしょうか。
小雨の降りしきる中、みなとみらいに
肝炎の勉強会に行ってきました。
1988年、自分が国家試験を受けたその年に
アメリカのベンチャー企業が遺伝子の断片を
検出してC型肝炎は姿を現し始めたのでした。
1989年の11月にC100-3抗体で
輸血用の血液、凍結血漿のスクリーニングが
始まるまでは病院内でも輸血後C型肝炎は
けして珍しくなく、日常的に発症していました。
治療薬の「切り札」だったインターフェロンも
当初はB型肝炎にしか健保適用がなく、
C型肝炎の患者さんは研究グループの研究費から
インターフェロン治療を行っていました。
「混合診療」と言われるかも知れませんが、
そうするしか、インターフェロンは
C型肝炎の患者さんに使用できなかったのです。
1992年、やっとインターフェロンの
24週間投与が承認されましたが、
それでも、入院して2週間連日注射をし、
その後、週3回通院しながら治療を続けるのは
患者さんにとって大変な苦痛を伴い、
その大きな苦労の割には副作用も少なくなく、
治療効果は決して満足のいく成績ではありませんでした。
2001年、リバビリンが認可され
インターフェロンと併用が可能になり、
さらに2004年、ペグインターフェロンの登場によって、
C型肝炎の治癒率は飛躍的に向上しました。
ここ2~3年の間に次々にプロテアーゼ阻害剤が登場し、
ペグインターフェロン、リバビリンとの3剤併用によって
もはや「「C型肝炎は治る病気」と言われるようになりました。
しかし、インターフェロンに感受性がない体質だったり、
副作用のためにインターフェロンが使用できない
患者さんは取り残されていたのが現状です。
しかし、いよいよインターフェロンを使用しないで
直接的作用型抗ウイルス薬のみで
治療が可能な時代になりました。
薬剤耐性の問題はあるにせよ、
すでにインターフェロンが使用できない患者さんにとっては
待ちわびた福音であることに間違いはありません。
講演を聴講していて、
心に浮かぶのは今まで関わってきた
患者さんたちの顔、顔、顔・・・。
20年前、いやせめて5年前にでも
タイムマシンで薬を持って行くことが出来たらと
思わないではいられませんでした。


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