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診療終了の午後6時半。
外はまだ昼間の明るさですが、
昨日はバケツをひっくり返したような
豪雨でした。
昔、相模原の病院に
出向しているとき、
ときどき、夕立があると
帰りが同じ方角のF先生に、
「ほら、こんな大雨で、
ぼやぼやしていると電車が止まるぞ。
帰れる日は、定時に帰るのも
医者の技量のうちだ」と誘われて、
初夏でまだ陽の高いうちに
病院を後にして定時に帰ることが
ありました。
何だかバチがあたりそうな
気がしたものです。
そういう日でもどっかに寄って
一杯やっていくと言う発想はありません。
で、どっかには寄りませんが、
F先生が駅の売店で缶ビールを
おごってくれるのです。
「先生、ボク、飲めないんでいいです」と
お断り申し上げても、
「おまえな、そんな、酒も飲めない
人生送っても、つまらんぞ」と
勝手にビールを2缶買ってしまうのです。
ザーザーぶりの横浜線の線路を
眺め、ホームのベンチに座りながら、
その日、行った食道静脈瘤の硬化療法や
内視鏡的逆行性膵胆管造影の手技について
「おまえは、ちょっと内視鏡の操作が
粗雑だな。彼女のおっぱい持つみたいに
扱わないとダメなんだよ」と
会津弁でのお説教、じゃなかった
ご指導を賜ったものです。
ドクターフリッカーは
今でこそ、発泡酒の晩酌を
していますが、当時はホントに
飲めませんでした。
隙をみて、
「はー、彼女がいないもんですいません」
と、言い訳をしながら、
そっと、ビールを持った手を
逆さにして音を立てないように
ホームに流したりしましたが、
「おまえ、俺が買ったビール捨ててんのか?!
ちょっと、もう一本、買って来い」と
ズルをしたおかげで電車に乗ってまで
ビールを飲むはめになったことも
少なくありません。
いや、さすがに通勤電車に
ビール持って乗っている人は
あまりいませんし、
長津田に着く頃には
顔は真っ赤で、乗り換えの階段を
昇るのも辛くなりました。
今でも、F先生にお会いすると
「おまえは、オレのおかげで
飲めるようになって良かったな」と
言われます。
初夏の夕立を見ると
F先生と缶ビールを思い出します。